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レールシューターのようなツインスティックシューター『RILIAZA』レビュー

列車の進行方向を切り替えながらゾンビを撃ち抜く『RILIAZA』はさながら移動が制限されたツインスティックシューターのようであり、強制スクロールを伴う点からレールシューターのような趣がある。 移動が制限されているとはいえ、上下のいずれのレールに進むかの切り替えは可能であり、この切り替えは分岐のポイントに到達するまで何度でも行うことができる。 しかし、ひとたびポイントに到達するとプレイヤーの命運も決してしまう。 行き止まりに分岐してしまった場合、有無を言わさずゲームオーバーとなるのだ。 そのため、常に余裕を持って切り替えを行いたいところだが、分岐先が行き止まりかどうかは分岐の直前でなければ判断できない。 だからこそ前方を注意深く見る必要があるが、後ろから大量のゾンビが襲いかかってくるのだから話はそう簡単ではない。

レールシューター × ツインスティックシューター = STG

『RILIAZA』最大の美点はレールシューターとツインスティックシューターの組み合わせにこそあるだろう。 避ける行為と狙い撃つ行為のバランスとジレンマ自体はツインスティックシューターが本来持っている要素ではあった。 しかし、その避ける行為を限定し、時間差を生じさせたことに1つの発明がある。 これにより強制スクロールとマッチするようになり、避けるフェーズと狙い撃つフェーズが交互に訪れるようになる。 そして、この体験に強烈な既視感を覚えた。 これはスクロールシュー、すなわち強制スクロールを伴うSTGによく似ている。

ある意味ではツインスティックシューターは進行方向と射撃方向を分解したSTGと言える。 それによってプレイヤーの行動はより大きな自由を得、その代償としてレベルデザインの緻密さを失った。 これはビデオゲーム一般に言えることと思うが、プレイヤーの行動に自由を与えるとゲーム体験の制御精度は低くなる。 例えば無限に飛行できるプラットフォーマーはつまらないだろうし、遠距離から弓でチクチクと撃ち続ける戦闘はデザインとして洗練されているとは言い難い。 『RILIAZA』はツインスティックシューターに移動の制限を課すことで、達成可能なレベルデザインの緻密さが向上した。

一定タイミングごとに上下移動可能な横シューと言えなくもない。

更に、避けるフェーズと狙い撃つフェーズが交互に訪れるという点も素晴らしく、優れたSTGが持つ普遍的な特徴とも言える。 回避と攻撃を同時に与えてしまうとゲームプレイの印象がぼやけたものになってしまう上に、単純に難しくなりすぎるのだ。 そのため、良くできたSTGほどレベルデザイン上自然とそれらを分離する。 それによりプレイヤーがすべきこと、このゲームをクリアする上で克服すべきことが明確化される。 STGの多くはクリアが難しくデザインされているが、難しいから面白いのではなく難しいものを(たとえ部分的とはいえ)克服できることが面白さに繋がっているのだ。

翻って本作のメカニクスは横シューのようなものに近づいてはいるが、移動の時間差と360°の射撃によりレールシューターらしさも残った独特なものになっている。 また、自機の弾速が遅いことから狙い撃ちを難しくしているだけでなく、余裕を持って敵を早めに倒しておきたくなるようなプレッシャーをプレイヤーに与えている。 また、敵を倒せたかどうかの着弾判断にもディレイがかかるため、意識が後方に奪われるデザインになっている。 そして分岐ポイントを過ぎたことに気づき、舌打ちとともにリトライのためRキーを押す体験を繰り返す苦々しくも心地良い体験が得られる。

シルエットだけだが、ゾンビものやポストアポカリプスものの持つフェティッシュなポイントをよくとらえている。

残念ながら後述の通り本作のレベルデザインは工夫が足りず、結果としてゲーム体験は単調なものに成り下がっている。 しかし、レールシューターとツインスティックシューターの組み合わせそのものには可能性を感じずにはいられない。 これは強制スクロールツインスティックシューターという新たなジャンルの幕開けすら感じられるポテンシャルを秘めており、その予感を体験できたことは本作の十分な評価点と言える。

退屈なレベルデザイン

『RILIAZA』はプレイヤーから自由な移動を奪い取った。 にも関わらず、そのレベルデザインは工夫が足りず、最後まで代わり映えしない単調なゲームプレイが続く結果となってしまった。 レベルデザインの不在は本作最大の欠点であり、本作のゲーム体験を決定付ける要因ともなっている。 既に述べたように本作はどことなくSTGのようなフィールを持っている。 だからこそレベルデザインの比重は大きい。 プレイヤーの移動は大きく制限され、攻撃方法についても射撃の向きを変えられるだけである。 要するにできることが極端に少ない。 その上レベルデザインが凝られていないとなれば体験の質はどうしても下がってしまう。

道中の演出もゾンビが木々をなぎ倒す程度しかなく、プレイヤーの攻撃では木は倒れない。

本作のレベルデザインの最大の欠点は敵の出現に関していずれの相乗効果もないことにある。 要するに敵の湧き方が雑なのだ。 優れたSTGやアクションゲームはプレイヤーの置かれたシチュエーションと敵の出現に何らかの相乗効果がある。 少なくともプレイヤーが考える作者の意図がある。 だからこそプレイヤーはそれを鑑みて対策を講じることができる。 「このレベルデザインはこういうゲームプレイを意図しているのだろう」という想定はレベルデザインがプレイヤーを誘導している好例と言える。 そのような想定をプレイヤー側が持てない場合、何をすればいいのかがわからなくなってしまう。 要するに本作のレベルデザインには明確なメタ、対策が存在しない。

また、単純にバリエーションの不足もある。 本作は10分もあればクリアできるほど小さなゲームではあるが、その10分間のゲームプレイですら著しい繰り返しを感じるほどにバリエーションが少ない。 本作のレベルデザインを構成する要素は分岐する線路と後ろから襲いかかってくるゾンビ、後は最後の方で出現するボス程度しかない。 そして、その組み合わせ方が1種類しかない。 ただただ線路が分岐し、それと関係なくただただゾンビが後ろから襲ってくる。 ボスもゾンビとは無関係に攻撃してくる。 全てがバラバラで、無関心だ。

ボスも何ら脅威ではなく、刺激に欠ける。

例えば前からゾンビが襲ってきても良かったかもしれない。 ゾンビの出現演出に凝っても良かったかもしれない。 ゾンビの出現に緩急をつけても良かったかもしれない。 ゾンビ以外の、例えば優先的に倒さないと厄介な敵を出しても良かったかもしれない。 列車が途中で加減速するエリアがあっても良かったかもしれない。 線路の分岐間隔に緩急をつけても良かったかもしれない。 いずれにしても、工夫が足りない。

hi-fiなゲーム内世界

最後に、オープニングのカットシーンについて言及しないわけにはいかない。 『RILIAZA』は20秒以上と比較的長尺のカットシーンからゲームが始まる。 そのカットシーン自体はアニメーションと言えるようなものではなく、数秒に1枚の絵が切り替わっていく程度のものでしかない。 しかし、それはビジュアルノベルのような一枚絵でシチュエーションを説明するものではなく、アニメーションの絵コンテのような映像的な作りをしている。 一枚絵として見たときにだらしのない、動きと動きの合間の動作を描写した絵や主人公が半分見切れてしまっている絵すら登場するのだ。

このカットシーンは本作のフェティシズムが最も強く現れており、はっきり言って相当に趣味性が強い。

このカットシーンを見たとき、私は昔のゲーム、例えばアウターワールドやフラッシュバックを思い出さずにはいられなかった。 有り体に言って本作のビジュアルは非常にlo-fiな、つまり表現としての解像度に欠いたアウトプットをしている。 しかし、これは懐古趣味的なものではなく、デフォルメやカリカチュア的なものとも思えない。 これは技術的な制約が強かった黎明期において、いかにして写実的な映像を成り立たせられるかに苦心していたゲームのような趣を感じられた。 仮にそうだとしても本作の場合は技術的な理由ではなく労力的な問題や人材的な問題ではあるだろうが、何らかの理由によって達成されない表現への渇望という意味では同じとみなせるだろう。

また、本作では列車が分岐先を切り替える際に動作音が再生されるが、この動作音は極めてリアリスティックな、hi-fiなサウンドをしている。 このようなビジュアルのlo-fiさとサウンドのhi-fiさによるハイコントラクトなアートスタイルはインディーゲームにおいてはそこまで珍しいものではない。 しかし、本作のハイコントラクトさは意図されたものというよりも、映像的表現への苦心の表れのように見える。 そのような、パッケージアートや説明書のイラストは美麗にも関わらずゲームのビジュアルは荒々しいドット絵だった昔のゲームのような感覚は、むしろ強烈なノスタルジーを引き起こす。

ゲームそのものはlo-fiだが、ゲーム内に存在する世界そのものはhi-fiに描かれている。

総評

レールシューターとツインスティックシューターの組み合わせは面白く、強制スクロールツインスティックシューターという新たな地平を築く可能性さえ感じさせられる。 にも関わらず肝心のレベルデザインに工夫が見られないためゲーム体験はのっぺりとしたものになってしまっている。 lo-fiなビジュアルとhi-fiなゲーム内世界、オープニングカットシーンの持つ昔のゲームのような解像度のコントラクトなどアートスタイルにも魅力を感じられる。 しかし、レベルデザインの不在を覆すほどのパワーはない。

GOOD

  • レールシューターとツインスティックシューターの組み合わせ
  • lo-fiなゲーム画面とhi-fiなゲーム内世界

BAD

  • 単調なレベルデザイン
  • ありがちなBGM
  • 傑作
  • 秀作
  • 良作
  • 佳作
  • 凡作
  • 駄作
佳作

レールシューターとツインスティックシューターの組み合わせは面白いが、ゲーム体験は単調で代わり映えしない。レベルデザインにおける工夫のなさが本作の持つlo-fi感をただのチープさに変えてしまった。

タイトル: RILIAZA 作者: LegionGames リリース: バージョン: N/A プラットフォーム: ブラウザ 価格: 無料 言語: テキストなし レビュアー: 吉井歩 プレイ時間: 15分