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とにかくkawaiiビビッドアクションシュー『グミシューター』レビュー

本作は魂斗羅やロックマンのような走りながら撃つ2Dゲームで、日本では(ややマイナーながら)アクションシューティングと呼ばれ、海外ではランアンドガンとして親しまれているジャンルに属する。しかし、本作最大の特徴はTemple Runやスーパーマリオランなどに代表されるような強制移動を伴うランゲームでもある点だ。多くのランゲームと同様に、グミシューターもスペースボタン1つのみで操作が完結している。ステージ最奥にはボスがおり、最終的にはゲームクリアまでのタイム短縮を目指すことになる。

ボタン1つでの操作になることから、スペースボタンが移動と攻撃の両方を兼ねることとなる。銃弾は撃ち続けると「からっぽ!」になってしまうが、ボタンを離すとチャージされて「まんたん!」になる。「からっぽ!」状態でも移動はできるが敵とぶつかるとやられてしまうのでリスキーだ。かといっていちいち立ち止まって「まんたん!」にしていてはクリアタイムが一向に縮まらない。また、敵を倒すと飴のようなアイテムをドロップし、これに触れることで一瞬で「まんたん!」状態になれる。

「からっぽ!」でも進めるが敵を倒すためには「まんたん!」にしておきたい。

前述の通りグミシューターはメカニクスとしても十分ユニークで特徴的だ。しかし、本作最大の美点はなんと言ってもビジュアルスタイルにあるだろう。モダンでテンションの高いビジュアルは、慌ただしく忙しないゲームプレイと相まって形容し難い多幸感を与えてくれる。ランゲームとしての後戻りを咎めるメカニクスが、ポジティブなビジュアルをより引き立てている。メカニクスや演出のすべてがビジュアルの引き立て役であると言っても過言ではない。

ゲージ管理に焦点を絞ったスーパーミニマリスティックなゲームメカニクス。

傑出したオープニングシーケンス

特に冒頭のオープニングシーケンスは圧巻だ。画面にはSPACEとしか書かれておらず、スペースボタンを押し続けると全自動でオープニングシーケンスをクリアできるようデザインされている。もちろん本作はただボタンを無節操に押せばいいだけのゲームではなく、それなりにタイミングを考える必要がある。しかし、飴と敵の配置から、オープニングシーケンスのみボタン押しっぱなしでもクリアできるようにデザインされている。これは演出を優先したためにゲームプレイの多様性が失われた結果ではない。むしろオープニングシーケンスの意義とは、プレイヤーに操作方法を説明することにある。即ちチュートリアルであるわけだが、同時にゲームのテンションを伝えている。

本作はランゲームにしては多少の後戻りを許容する。スペースボタンを連続して押せば連続してバク宙を繰り返し、徐々に後退が可能なのだ。しかし、そのようなプレイはチマチマした退屈なプレイでもある。そこで、敵を倒すことでゲージ回復アイテムをドロップさせ、連続して敵を倒す爽快なプレイを実現している。退屈なプレイを咎めるのではなく爽快なプレイを体験させることによって、作品自身の方向性をゲームプレイを通してプレイヤーに雄弁に語りかけている。

敵を倒してゲージを回復して敵を倒すアグレッシブなプレイサイクルは90年代FPSを彷彿とさせる。もちろん硬い敵相手だとこうはいかない。

もう一点、オープニングシーケンスではゲームオーバーにならない。これは特別な措置ではなく、レベルデザイン上起き得ないという意味である。プレイヤーはオープニングシーケンスを通して強制的にステージクリアを体験させられる。だからこそプレイヤーは好きに操作を試行し、メカニクスを安全に学習することができる。チュートリアル時にプレイヤーがゲームオーバーにならないよう配慮されたゲームは多くあるが、ゲームオーバーが起こり得ないレベルデザインでもってそれを実現する本作のオープニングシーケンスは傑出したオープニングだけでなく、傑出したチュートリアルでもある。

リトライを阻むデザイン

オープニングシーケンスそのものは間違いなく素晴らしい作りだが、何度もリトライを繰り返してタイム短縮を目指すグミシューターにおいて、このオープニングシーケンスがスキップ不可であったことは非常に残念だった。せめて一度クリアするとスキップされるような仕様であればよかったのだが。好意的に解釈するのであれば、スペースボタン押しっぱなしでクリアできることそのものがスキップを表現しているのかもしれない。それはデザイン的に美しく感じられなくもないが、何度も同じ体験をすることは気持ちのいいものではなかった。

また、最奥にボスはいるが、ボス戦と呼べるものではない。これはランゲームであることや、本作のミニマリスティックなメカニクスデザインアプローチ全体の急所でもあるが、全体的にゲーム体験が変わらない。要するに特徴的な敵がいないし、地形に至っては最後までフラットだ。ボスのデザインそのものは素晴らしかったが、メカニクスに関与しないオブジェクトの存在感は否応なしに下がってしまう。

死ぬと進捗を教えてくれる。ゲージの矢印がプレイヤーキャラの顔になっており、いちいちかわいい。

デフォルトのクリアタイムは5位まで記録されており、クリア後ひとまずは5位の150秒突破を目指すことになるだろう。筆者は3位の80秒切りを果たしたところで力尽きてしまったが、1位の60秒切りを目指す上ではある程度のパターン構築は避けられないだろう。とは言え80秒切り程度であればアドリブでなんとかなってしまう懐の深さはある。筆者は当初あまりにもシンプルなメカニクスであったため奥深いプレイ体験が成り立つか懐疑的ではあったが、やればやるほどタイムが短縮されていく体験は任天堂の宮本茂氏の言葉を借りれば「指先に経験値が溜まる」アクションゲーム特有の面白さがそこにはあった。

ギリギリ80秒切りを果たす筆者スコア。ちゃんとパターンさえ組めば70秒切りは硬いはず。多分。

総評

飛ばせないオープニングや代わり映えしないゲームプレイなどの不満点もあるが、ビジュアルと演出の洪水がそれらを洗い流してくれる。ミニマリスティックなメカニクスと過剰なまでに派手なビジュアルと演出は噛み合わないどころか一体であるとさえ感じられる。短く集中を要するゲームプレイやチカチカしたビジュアルから、ノリのいいVJのいるクラブで体を揺らす体験を想起させられる。クリア時には心地よい疲労感に包まれるだろう。

GOOD

  • 傑出したオープニングシーケンス
  • ハイテンションなゲームプレイ
  • kawaiiビジュアル

BAD

  • 飛ばせないオープニング
  • 多様性に欠けるゲームプレイ
  • 傑作
  • 秀作
  • 良作
  • 佳作
  • 凡作
  • 駄作
良作

kawaiiビジュアルとそれに応えるハイテンションなメカニクスは確かな多幸感に満ちている。作品の姿勢をゲームプレイを通してプレイヤーに語りかけるオープニングシーケンスはゲームならではな演出手法として一級品。

タイトル: グミシューター 作者: simatten リリース: バージョン: 1.13 プラットフォーム: Windows, Android 価格: 無料 言語: 日本語あり レビュアー: 吉井歩 プレイ時間: 30分